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2006年5月16日 (火)

Vフォー・ヴェンデッタ(映画)

(ジェームズ・マクティーグ監督)

名前を確認しながらでないと書き間違えそうなタイトルなのである。
日本語で言うと「復讐のV」というところ?(劇中でもっと上手い訳が出てた気もするけど失念)

マトリックスのウォシャウスキー兄弟が脚本だったり、マトリックスの助監督が監督だったり、
これまたマトリックスのエージェント・スミス役のヒューゴ・ウィーヴィングが実質主演だったり、
アンチ・ユートピアな暗い未来設定だったり、
宣伝だと仮面の集団がエージェントスミスばりに大量出現していたりと、
やっぱりマトリックス的な作品なのだろうかと見る前は思ったりしましたが、
全然違ってましたね。見事なまでに。
自分は面白かったですが、評価や好みが分かれそうな作品に思えました。

撮影もアクションも特撮もかなりアナログ的で、そもそもアクションメインの作品ではありませんでした。
独裁社会に反抗する復讐者の話で、
やばい位に政治的問題定義バリバリな作品です。
テロニズム容認と言うか、立場が変わればテロも革命も紙一重と言うか、物事には二面性があると言うか、“国民”の責任論と言うか、立てよ国民と言うか(←コレ本質的な意味で全然違う)。
どうも元々の原作は1980年代のサッチャー政権への批判を込めて書かれたらしいですが(未読)、
映画は未来の話なのですが、バリバリに今のアメリカやら日本への皮肉がこもっていると感じました。
まあ、アメリカはともかく、制作者が「日本」のことなんて意識してるかどうかは知りませんが、
どこの国の人が見ても、そこなりに耳が痛くなる部分がある映画なのではないかと。
(今の日本の状況に物凄くタイムリーに見えましたけどね)

イギリスで有名な、1605年に上院爆破を計画して処刑された「ガイ・フォークス」の事が下敷きになってるらしいですが、このあたりの元知識は全くありませんでした。
その為、「11月5日」へのこだわりなど、ちょっと分かり難い所もありましたが、一応その辺を知らなくても話の大筋は理解出来るのではないかと。(多分)

そんな話ですが、復讐譚の娯楽作品としても楽しめたとは思います。
ちょっと流れが分かり難い所もありましたけど、
お堅い話ではないですし、大げさで分かり易い漫画的な話ではありますし。
終盤の誰もいない部屋で流されるテレビ中継など大胆な演出が印象深く、
ビッグベン爆破は単純に絵的に見応えがありました。

Vの素顔を最後まで見せないのが“国民一人一人が、誰もがVである”との主張に合致していていいですね。
ヒューゴ・ウィーヴィングの顔を一切出さない思い切りの良さが作品のテーマを如実に語っていると思えました。

中盤のヒロイン絡みの展開はなかなか「凄かった」です。
色んな意味で、ここまでやるかと思いました。
ナタリー・ポートマンの役者魂が凄い。

再度見直せば色々発見のありそうな映画だと思えました。

公式サイト

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コメント

はじめまして、でんでんさん。 長文失礼します。
コミックの映画化らしく余り期待せずに見ましたが、政治的問題提起も鋭くハマると楽しめますね。 >「テロも革命も紙一重」 確かにそういう感じがありましたね。又、テロでなくレジスタンスという捉え方も出来ますね。本人は残念でしょうが、某・スミス氏の友情出演?も好演でしたね。「作家はウソで真実を語る」など、W兄弟・脚本の含みのあるセリフも印象的でした。(DVDで観る機会があれば、Vがイヴィーに自己紹介する場面を英語字幕で観ると面白いですよ。)

80年代の原作ですが、劇中の「メディア操作」や「偽装テロ」を現在と重ねると、06年に公開された「意味」や、製作者の隠された「意図」が感じられるかもしれません…。 今年世界でブレイクした有志・結晶映画「LOOSE CHANGE = ルース・チェインジ」が「9/11 Truth運動」の心に火を灯して世界中で話題ですが、ご存知でしょうか? 23歳のディラン・エイヴリー監督らが制作し、夏配信の「LC 2ND Recut」等では、Vのように「集おう」と呼び掛けました。 「仮面」の代わりが「Blackシャツ」です。

06年の9月11日の再調査要求・NY動画と、翌日その様子を伝えたはずのニュース。(人々が集まったと言っていますが、デモ人数の違いに注目…。)  9月11日は来年も訪れます。
http://www.911podcasts.com/files/video/TalkingAboutaRevolution.wmv
http://www.911podcasts.com/files/video/Zahn_LC.wmv

吹き替え版の無料配信が11月下旬から開始され、グーグルでは既に10万人が鑑賞。日本語版の検索語「LOOSEチェンジ」の世界各国の報道などは、下記BBSの11/22を。ご参考になればと。 尚、本文内容やLINK先とは利害関係はありません。
http://www.wa3w.com/911/index.html
http://bbs9.fc2.com/php/e.php/cinepro/
http://www.harmonicslife.net/gallery/main.php?g2_itemId=775

投稿: W・R | 2006年12月31日 (日) 03時39分

はじめまして。正月留守にしていてバタバタしていました。返事が遅くなって申し訳ありません。
半年以上前の映画で記憶もやや薄れてはいますが、それでも印象的な映画でした。現代に作る意味も確かにあったかも知れません。

投稿: でんでん | 2007年1月 3日 (水) 14時57分

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受信: 2006年5月16日 (火) 13時21分

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