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2006年8月 3日 (木)

笑う大天使(ミカエル)(映画)

(小田一生監督)

うーむ、それなりに楽しめるところもあるけど、正直微妙です。

原作者の川原泉には昔から思い入れがあって、「川原泉の作風を実写で表現するのは無理だろう」と思ってましたが、やっぱり無理でした(苦笑)
あの独特なリリカルに哲学チックな空気感はありません。
本来なら映画と原作との比較はあまりすべきでないと思うのですが、
自分の原作者への思い入れが強いので今回は無理です。すんません(^^;
見ているとスタッフは「川原節」を再現しようとする意欲すら放棄しているように見えるので、
『何故わざわざ(ファン人気は根強いけどあまり有名とは言いにくい)18年前の作品を掘り起こして、下手なオリジナル要素で劣化させた“俺映画”にしてしまうのか?』くらいの文句は言いたくなります。
これが元から超メジャーな原作なら話も違いますけどね。
何故にこの作品で、中途半端なVFXアクションにあれ程比重が置かれるのやら。

映画は映画で、漫画チックな表現もまあまあハマって、それなりには楽しる部分もありますが、
しかし、どうにもテンポが悪く、映画単体として見ても、やはり良い出来とは言えません。
安っぽいCGは別にいいんですが、映画全体のバランス感覚がどうにもおかしい。

聖ミカエル学園というお嬢様学校に紛れ込んだ庶民3人娘が猫を被りつつもそれぞれらしく生きたり誘拐事件を解決する話です。お嬢様という生き物と庶民とのギャップがミソ。
原作での1・2巻の誘拐エピソードをベースに、3巻の史緒さんと兄ちゃんの話を混ぜ込んでいます。
史緒と兄ちゃんの関係も固まってない段階で3巻の話を混ぜるのはどうかと最初は思いましたが、
ソコを入れて盛り上げたくなる制作者の気持ちは分かります。方法論としても正しいと思う。
ただ、それをやって妙に湿っぽいセンスが漂ってしまうのは、やはり「普通の感覚」で作るとこうなってしまうのかなあと思いました。
“本”のオリジナルエピソードはちょっと良かったですけどね。

史緒がメインになっている事自体はいいのですが、
ほぼモノローグが史緒の一人称だけで進むこともあり、他の2人の影がとても薄いです。
そして2人のバックボーンがほとんど語られないため、3人が互いに猫を被っていた事を知って友情に目覚めるシーンがまるで生きず、
結果として史緒のキャラクターも上手く生きてこないのがどうにも悪循環かと。

そして、劣化キルビル的なエセアクションシーンがやたらと無駄に無意味に長いのが最大の問題点かと。
制作者は力を入れるべきところを完全に間違えていると思いました。
まあ『巨大化史緒』まで見てしまうと、あまりの馬鹿馬鹿しさにちょっと許せる気分にもなりますけど(^^;

しかし、“お嬢様と庶民のギャップ”だとか、3人のそれぞれの個性の掘り下げだとか、もっと作品として生かすべきシーンは多かったとは思います。
「それを描写する時間が無かった」などとは言わせません。
監督はVFX出身の人だと言うことなので、アクションを優先させたかったのかも知れませんが、
やる作品を間違えてるのではないかと。

CGで描かれた黒犬ダミアンはちょっといい味でした。
しかし「てえーてえー」が無いのが甚だ残念ですけどね。
甘い物好きだと伏線まで張ってるのに、なんで回収しないんだろ。やらないならあんな伏線張るなよ。

あの不可思議な制服のセンスは本当に不思議です。道着にしか見えない体操服も。
あれがお嬢様学校の制服と言われても、その…なんだ、困る。

ところで、なんで史緒が関西弁キャラになってるんだろう(^^;?
…「モノローグ」と「口で話すセリフ」を区別しやすくする為なのだとしたら効果的ではあったかも知れないか?

公式サイト

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