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2006年9月19日 (火)

ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟(映画)

(円谷一夫監督)

最初にひとこと
『昭和ウルトラマンシリーズ直撃世代なら是非とも見るべし。たとえTV版ウルトラマンメビウスを知らないとしても。
 子供がいるなら是非一緒に見るべし』

■「ウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品」と銘打たれた現在放送中のTVシリーズの劇場版作品です。
朝一の回目当てで上映40分前に行きましたが、既に満席で二回目上映で見ることになりました。
おそらく当日に『ウルトラマンメビウスとウルトラセブンが初回上映前に来館』イベントがあった為にこれほど混んでいたのではないかとも思いますが、こういう映画で子供が満杯なのはいいことです。

■うちのサイトに来られる方の場合、ウルトラに詳しくない人が過半な気がしますので
「ウルトラマンメビウス」がどういう作品かを(自分も語れるほど詳しいわけでは無いですが)ざっくり説明しますと、
一言で言うと 『【お父さん世代】に直球どストライクなウルトラ物』 です。
『お父さんが子供と一緒に楽しめる』親子のコミュニケーション育成に優れた作品であり、そして『子供のための真っ直ぐなヒーロー物』であることを目指した作品なのです。

「平成ウルトラシリーズ」と呼ばれる昨今の新しいウルトラ物は、昔のシリーズとは世界観を共有しない新しいシリーズとして作られてきていましたが(言うなればGガンダムやWやXや種。或いは平成仮面ライダー)、
今回のメビウスは『初代ウルトラマンからレオ、80までの昭和ウルトラマンの世界観の完全な延長線上にあるウルトラマン』(TVではウルトラQでの出来事にまでリンク)で、1980〜81のウルトラマン80以来25年ぶりに地球に現れたウルトラマンの“ルーキー”メビウスの戦いと成長を描いた番組です。
まさに40年分の歴史が作中で積み重ねられているため、TVでは毎回のように旧作を意識させる濃い隠し味が練り込まれて盛り込まれ(第1話からして「ウルトラ5つの誓い」が登場)、
お父さん世代感涙の作品になっているのです。

そしてその一方で、単なる懐古趣味にならないようにバランスに配慮した作品になっていて、
あくまで現代の子供達を主眼におき、ルーキーとしての未熟な新世代のウルトラマンのヒーローとしての成長と、『地球人とウルトラマンとの交流・共闘』をテーマに仲間との協調を強く描いた、極めて前向きで真っ直ぐな熱いヒーロー番組 なのであります。
(昨今は割と「斜に構えた」ヒーロー物が多かったりするのですが、本作は実にストレートに仲間の絆と成長を描いてくれてちびっこ番組としてとても心地よいです)
回帰と新生を掲げた意欲作で、『ウルトラ誕生40周年記念作品』との触れ込みは伊達ではありません。

■で、今回はそんな作品の劇場版。
映画の目玉はずばり『ウルトラ兄弟と新世代のメビウスとの共闘』です。
初代ウルトラマン・セブン・帰りマン・エース、そしてタロウ、ゾフィーが登場しますが、
それも、この手のイベント映画でよくあるような「単なるスペシャル版での脈絡無い表層的なゲストキャラとの共演」ではなく、
あくまでも40年前からの歴史を重ねて作品世界で人生を重ねてきた、確固たるキャラクターとしてのハヤタ(黒部進氏(ウルトラマン))、モロボシ・ダン(森次晃 嗣氏(ウルトラセブン))、郷秀樹(団時朗氏(帰りマン))、北斗星司(高峰圭二氏(ウルトラマンエース))という大先輩達が新世代の後輩であるメビウス を導き助けるという、
既に50〜60年代となったかつてのヒーロー達との共闘で(この顔ぶれが揃ったのは33年ぶりだとか)、
これで熱くならないはずが無いという「卑怯」なまでの熱さを持った、かつての子供と今の子供の夢のプロジェクトなのです。
初老となられたヒーロー達の格好いいこと。マジで泣けます。
(ちなみにレオと80は未登場でちょっと残念)
(タロウも変身体は登場しますが人間・東光太郎としては未登場。篠田三郎氏が舞台の仕事の都合で参加出来なかったとのことですので、今後のTVシリーズに期待)

まあヒーロー映画ですから、ぶっちゃけツッコミ所はあれこれとありますが、
この熱さと勢いの前にはどうでもよくなります。
『今の』ハヤタやダンが変身してくれるだけでもう満足。要所要所に熱さとネタとサービス精神が盛りに盛り込まれた濃い映画でありました。おなかいっぱいです。

こう聞くとおっさん御用達映画のように聞こえますが、冒頭からテンションの高いウルトラ兄弟の“20年前の”戦いで子供心をガッチリつかみ、その後も濃度の濃いドラマとバトルで最後まで盛り上げて、場内の子供達も反応良く、ちゃんと釘付けになっているのが伝わりました。
やはり正しいヒーロー物は子供に応援されねば!

作中には「ウルトラマンと交流するゲスト少年」も登場しますが、こういう子役は割と視聴者として「鬱陶しい」場合がありがちなのですが、本作では見せ方が上手く、ウルトラマンにVサインをもらうゲスト少年に素直な羨ましさと、(子供であれば)一体感を感じられるものになっていたと思います。
むしろ少年の姉が別にいらなかった(笑)

少々残念だったのは、TVシリーズで強調されている『地球人(本作品での地球防衛組織である「GAYS」)との共闘』が本映画ではほぼ除外されていることですが、(今回GAYSはかなり蚊帳の外です。要所は締めてくれるんですけどね)
今作のメインはあくまで「ウルトラ兄弟」ですので、これで正しかった気もします。
両方を取り上げようとしても中途半端になる可能性が高いですから。
(撮影期間がTVシリーズより先行だったらしく、GAYSの各キャラが固まりきっていない事情もあったようです。)

■以下雑感列挙で。(ややネタバレあり)
・人間としてのウルトラ兄弟達のそれぞれの個性や過去がちゃんと生かれれた脚本がとても良い
・変身後の四兄弟もそれぞれの役割が強調されて隙がない。素晴らしいこだわりっぷり
・この変身後の兄弟の描写には“内山まもるテイスト”も感じられるのがまた嬉しいところ
・初代マンがちゃんとシワシワのAマスクなあたりのこだわりがアホなほど凄い
・郷秀樹が日本人離れしたおじさんになったなあ(笑)
・ダンの変身シーンは、ちょっと太、いや割腹がよくなられたなあと(笑)
・エメリウム光線も見たかったかなあ(出て…なかったと思うので)
・板野サーカスがウルトラマンで見られるとは。CGで描かれた空中戦は圧巻(CGであることに賛否もあるようですが)
・中盤から最後までのバトルのつるべ打ちのテンションが圧巻。バトルの中にも工夫とネタを盛り込んで飽きさせないサービス精神が立派
・しかし、カラータイマーが点滅してからいったい何分戦ってるんですか(笑)
・デザインが微妙かと思った「インフィニティー」が劇中で見ると案外納得、登場の経緯も良し
・これを言ったらおしまいだけど、やはり言いたい。20年も経つ前に充電に来てやれよ、ゾフィー(苦笑)(^^;
・GAYSのテッペイくんが生ウルトラ兄弟を見れなくて可哀想。映像記録が残っていればいいですねえ
・決戦地(神戸空港)の片隅にあったはずなのに無傷だとは、頑丈だなあガンウィンガー(笑)

・宇宙人達(テンペラー・ザラブ・ガッツ・ナックル、あとヤプールも)もそれぞれの個性が明確に生かされていていいですねー
・「つまさき」が最高(笑)
・Uキラーザウルスはエースキラーというよりデビルガンダムという気も(笑)
・ テンペラー星人のマントが素敵

・今回は私の地元の「神戸」が舞台だったのが個人的にかなり見所
・神戸空港も先日北海道旅行で行ったばかりなのでなんか嬉しい
・須磨海浜水族園とポートアイランドが随分近い気が(笑)
・ポートピアランドに観覧車が残ってるあたりが撮影時期がよく分かります(春に閉園してしまったので)

・ゲスト少年の“コスチューム”はお約束ですが、… もかよっ!(笑)
・ゲスト少年がウルトラ兄弟達の人形で遊ぶ写真が出てきますが、今回登場の6兄弟+メビウスの分の人形しか写ってないのが絶望した!(笑) きっとレオや80も砂場に埋もれていたのだと妄想補完しておきます(^^; でも、アストラとかは忘れられてるかもなあ…(^^;

・とにかく、かつてウルトラ世代だった人は必見の映画です。最近のTVシリーズを全然知らない人が見ても一本の作品として概ね問題なく見られると思うので、ウルトラ世代なら見れ!
・そしてエンディングが超おいしいので最後まで席を立つべからず!
・あー楽しかった

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TV版公式サイト
Wiki

メビウスTV版ネタ
その1
その2

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コメント

 初めまして、決闘王F.Kという者です。こちらのHPには以前からお邪魔していてジャンプ感想やサンデー感想を拝見させてもらっていました。毎週楽しみに見させてもらっています。
 「メビウス」の映画ですが、私も見ました。朝8時から並び、わざわざ舞台挨拶の回に見に行くという熱中ぶりに自分でもビックリしています(笑)。感想は管理人様と同じく「ウルトラマンが好きなら絶対に見るべし!」。本当に面白かったです。CGについては少し違和感を感じましたが、スピード感に溢れる戦闘シーンは素晴らしかったです。もっとCGの技術が発展すれば、今後のウルトラシリーズでは更に素晴らしいシーンが出来るかも。楽しみですね。
 テレビの「メビウス」も見ています。前回のヤプールの復活とバキシムの登場には感激しました。ヤプールにはもう少し頑張ってほしいけど、どうやらヤプール編は三部作のようで…。ちょっと残念です。超獣にはもっと暴れてほしいんですけどねえ。それでは。

投稿: 決闘王F.K | 2006年9月20日 (水) 09時46分

決闘王F.Kさん、はじめまして。書き込みありがとうございます~
実は私も決闘王F.Kさんのところにはお邪魔させて頂いておりました。
J-LINKさんのジャンプ感想更新チェックで、同じような時間帯での更新になることが多いので、勝手に親近感を感じていたりしまして(^^
よろしければ近日中にリンクを張らせていただきたいと思います。

メビウス映画は熱かったですねえ。私の方もメビウス&セブン目当てで朝一で行きました。映画自体は朝一回では無理でしたが、メビウス&セブンには出会えて満足です。
CGはどうしても違和感はありますし、初期ウルトラが好きな人は特に着ぐるみに拘る方も多いだろうとも思いますが、それでもやはり素晴らしかったと思いますよ。
あのスピード感にカメラワークは実写ではなかなか難しいでしょうねえ。
クライマックスのCGシーンでは光線技だけでなくアイスラッガーや八つ裂き光輪などもバッチリ使ってくれたのが嬉しかったですよ。(特にセブンはアイスラッガーの印象が強いので)

先週のテレビは、バキシムは格好良かったですねえ。登場シーンや「目」などの「兵器っぽさ」が素晴らしかったです。
3回でヤプールが消えるのは本当にもったいない。
しかし、その後に行ったい何を持ってくるかとのワクワク感もあるので先が楽しみです。

ではでは~

投稿: でんでん | 2006年9月20日 (水) 16時26分

初めまして。
TBさせてもらったんですが、ごめんなさい。
タイトルが切れてしまったんで、二度打ちしてしまいました。
どうぞ最初の方は削除してください。

話は変わりますが、大興奮ものの楽しい映画でした。
ぜひ続編を期待したいです。

投稿: かみぃ@未完の映画評 | 2006年9月28日 (木) 00時31分

かみぃさん、はじめまして。
TBありがとうございます。二度打ち分は直させていただきました。

映画は、確かに欠点もあげられるんですが、本当に興奮できるいい映画でした。
かみぃさんの映画評も頷きながら楽しませていただきましたので、かみぃさんの方でコメントさせていただきます。
続編は見たいですね。今回出番が無かったレオなどは続編というよりはTVシリーズで出るかもと思っていますが、さてどうなりますか~。

投稿: でんでん | 2006年9月28日 (木) 09時13分

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