リトル・ミス・サンシャイン(映画)
(ジョナサン・デイトン,ヴァレリー・ファリス監督)
「勝ち組」を夢見る「負け犬」家族が小さなバスで旅をする、ブラックな笑いの効いたロードムービーです。
父親は「9段階の成功プログラム」なる怪しげな““成功論”の出版を夢見て「人生勝ち組ゾナー!」と吹聴するも、彼のセミナーにはロクに客も来ない。
祖父はコカインの常習で老人ホームを追い出され、口を開けば下品なエロトークばかり。15歳の孫にも事あるごとに「複数の女をこませ」とハッパをかける。
叔父は「アメリカ最高のプルースト研究者」を自称しながらもライバルに出し抜かれて(同性の)恋人に振られ、職も失い自殺未遂。そのためこの一家に引き取られる。
息子はそんな家族に嫌気がさしてもいるのか、空軍パイロットを目指す願掛けとして、ニーチェに倣って口をきかない「沈黙の誓い」を実行中。(用事があるときは筆談で)
そんな、それぞれが自分勝手なしょーのない家族達だったが、
7歳の娘が出場することになったミスコンテスト「ミス・リトル・サンシャイン」に参加するために、遠いカリフォルニアまで一家総出で黄色いミニバスで旅に出ることになる。
自分勝手な人達が小さなバスに押し込められることで車内の雰囲気が険悪になる中で、次々トラブルが発生し、
家族もミニバスもどんどん壊れていくのだったが…
★
という話。
「勝ち組」に憧れる家族が「アメリカ的勝ち組の象徴」とも言えるミスコンに挑む中で家族の絆を再構築していくという、割と先が読める話ではありますが、
面白かったです。
お話は読めたとしても、家族の描写の痛さとおかしさが効いていて、本当にしょーのない人たちなのに、妙に思い入れしてしまえるのでした。(マイメロのバクに思い入れしちゃうようなものでしょうか)
あまりの「夢もチボーもない」痛さが逆に笑えてしまいつつも気持ちよく見られました。
あと、話が読みやすいとはいえ、“爺さんの運命”と“ミスコンでのダンス”は読めなかったです。爺さんの存在が効いてますわ。
バスがオンボロすぎて、家族で車を押さないと走り出せないのも、家族の状態をよく象徴していて面白いですな。何度も繰り返される乗車シーンが、間抜けさの中にも妙な緊張感があってナイスでした。
割といい気分で見終わることが出来ますが、実際には何の問題も解決していない投げっぱなしっぷりも良し(笑)
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