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2007年3月27日 (火)

秒速5センチメートル(映画)

(新海誠監督)

ほしのこえ」の新海誠監督の新作です。
長編だった(と言っても91分だけど)前作「雲のむこう、約束の場所」に対して今回は63分と短めで、
離ればなれになった男女の再会と行く末を、小学生時代から年代を追って3つの短編として描いた連作です。
個人的にはこの人の作風には、これくらいのスケールがちょうど良かった気はします。
「映画」としては小粒すぎてちょっと物足りないかも知れませんが、初めから小品と分かっているので問題なし。

新海氏と言えば、まずは『背景の美しさ』ですが、今作も、何でもないはずの日常的な街の風景や駅や空などの描写がやはり美しいです。自分の周囲の見慣れた街並みも新鮮な目で見直してみたいという気持ちになります。
今作では、雪や夜の風景に加えて、今まであまり描かれた印象が無かった「南国や海の風景」も描写されていたのが新鮮でした。

で、話についてですが、ネタバレ無しでは語りようが無い作品なので、以下少々ネタバレありで。注意のこと。

美しい思い出を持ちながら離ればなれになる男女という、これまでも新海氏が繰り返し描いてきたテーマで描かれていますが、
今作ではSF的な設定も戦闘も無く、ひたすら彼らの日常とその心情を掘り下げて描写していく内容になっています。
前作までが割と(恋愛の経過も含めて)「ファンタジー」だったのに対して、今作はある意味とても「現実的」でした。
ファンタジーを望んでいた層にはもしかしたら受け入れにくいかも知れないとも思いましたが、どーなんでしょうね。
いずれにせよ、3編それぞれに大変に切ない、これまでの作品以上の「身近な切なさ」を感じる作品でした。

特に、「男の心情」の描写がなんともリアルで、「分かる、分かるわあ…;;」と感情移入させられる、ある意味でとても恐ろしい作品でした;
「思い出」というものに対する「男の」ロマンチックさ加減やセンチメンタル加減が、何とも心当たりをグサグサと突かれます(苦笑)
見る人によっては物凄くダメージを受ける作品なのではないかと(^^;

第1話の「桜花抄」の美しさと感情移入度は珠玉でした。
大人にとってはどうという事の無いながらも「中学1年生」にとっては大きな困難であろうと実感として強く感じられる、子供の“不自由さ”がとことんリアルに感じられて頷けます。
しかし…

(以下は本気で超ネタバレなので、それが嫌な人は以下は読まない方がいいです)

こんな体験をしてしまえば『思い出に縛られる』のも仕方ないのかなあとも。
身も蓋もないですが、最後まで見ると、彼は一生幸せになれないのではないかと思えてしまいました。
男よりも女の方が地に足を付けてるなあとも…(^^;
ラストシーンでの彼の笑顔が、彼が吹っ切れて新たな人生を歩ける証しであればいいのですが。

山崎まさよし氏の「One more time,One more chance」がテーマ曲としてとても印象深い使い方をされていました。第3話の“タイトル”の入り方などはハッとさせられる素晴らしい物でした。ただ、それゆえに「プロモーションビデオ」的にも見えてしまうのはちょっと否定出来ないかなあと。

当日は、タイミング良く新海氏と作画監督の西村氏の舞台挨拶も見ることが出来ました。
西村氏の「半年で終わる仕事のはずが1年半に」という話が印象的でした(笑)

公式サイト

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