ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い(映画)
(寺本幸代監督)
去年の「のび太の恐竜2006( 感想)」に続く新体制ドラえもん映画の第二弾にして、大長編ドラえもん5作目のリメイクです。
ちなみに、自分は原作の大長編は読んでますが、旧映画版は未見という立場ですが、
素直に面白かったです。満足~
今作はタイトルに「新」とついているだけあって、原作からかなり変わっていました。
話の大まかな流れ自体は変わりませんが、感情移入度を高めてドラマチックに盛り上げられるように新要素を追加していたり(特に美夜子さん周辺)、
伏線を追加して唐突感を無くしてスムーズに見られるように努めていたり(ドラミの登場とかメジューサの存在とか)、
極力矛盾点を減らそうと工夫していたり(魔界歴程とほんやくコンニャクの辺りとか)と、
映画として盛り上げ度をアップさせ、各要素を有機的に繋ぎ直した、かなり練り直された脚本になっていたかと思います。
そして、去年の「のび太の恐竜2006」同様に、よく動くこと動くこと。見ているだけで面白く、また原作絵をかなり意識している絵面で満足感も高かったです。
去年の「恐竜」では一部作画が安定しない所もあったのですが、今作は安定度も高かったかと。
ドラえもんが去年以上に“柔らかそう”でグニョグニョだったのはちょっとやり過ぎな気もしましたが(笑)
ただ、全体的に(絵的にも話的にも)“緩急とメリハリ”には少し欠けた気はします。
ハイテンションのまま延々と話が続くので、集中力を持たせるのが少し辛かったかと。
特に幼い子供は集中力切れを起こしている子がチラホラといたように思えました(^^;
原作からしてそうですが、しずかちゃんはともかく、ジャイアン・スネ夫の出番はやや少なめです。
ぶっちゃけゲストヒロインの『美夜子さんの為の映画』ですねえ。
美夜子さんが格好いいこと、可愛いこと、いじらしいこと。(人間の時もネコの時も)
女性陣は全体的にかなり力を入れて魅力的に描かれていました。美夜子さん・しずかちゃん・ドラミはもちろん、ママまでも、いやホント。
女性監督である事も関係しているのか、女性陣の心理描写も力が入れられていて印象的でした。
藤子先生の原作は視点がやっぱりクールなのですが、映画はかなり情感を刺激するように出来ていました。
原作との差異は色々ありますが、こういう部分こそが最大の違いかも知れません。
私としては藤子漫画のクールさは勿論好きですが、しかし映画もこれはこれできっちり楽しめたのでOKです。
泣かせ方が『くどすぎる』と言う意見にもきっぱり同意はしますが(笑)
映画でのオリジナル要素として美夜子さんをかなり掘り下げているのですが、
自分としては『現実世界での美夜子さん』を描いてくれたのが嬉しかったです。
原作でも気になっていた部分でしたから。
のび太達が戦っていた頃、現実世界では、アルマゲドン状態になっていたのかなあ(^^;
道具の使い方の変更では、原作での「石ころ帽子」が「モーテン星」に変えられていたのが特に印象的でしたが、石ころ帽子だと相互のコミュニケーションが取れないから変えたかったんでしょうねえ。
「もしもボックス」は恐ろしい道具だなあとあらためて思う話でありました。
あれって、当初は「世界を作り替える道具」かと思っていたのですが、今作の解釈からすれば「パラレルワールドに移動する道具」なんですかね。
もし後者なら未来からタイムマシンで来たドラミが「魔法世界の現在」に到着するあたりが不思議なんですが、まあ、考えて答えが出る話でも無さそうな(^^;
「世界を作り替える」けど「作った世界はパラレルワールドとして続く」のなら、なんとも罪作りな道具ですなあ。
些末な疑問ですが、なんで「満月牧師」だったんでしょう。原作では「満月博士」ですよね。
悪魔と対立する存在だから牧師にしたんでしょーか?
牧師が魔法使いなのもどーかと思うけど(^^;(どーでもいい話だ)
来年も映画はやるようですが、どうなるんですかねえ。またリメイクなのかオリジナルになるのか。
このクオリティでオリジナルも見てみたいと思いますが、個人的に思い入れの強い「宇宙開拓史」はやっぱり見たいなあ。(去年も言いましたが(笑))
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