デジャヴ(映画)
(トニー・スコット監督)
ジェリー・ブラッカイマー製作
とあるテロ事件の捜査を行う事になったATF(アルコール・タバコ・火器取締局)の捜査官のダグは、FBIが開発したという『人工衛星や監視カメラ等からの映像を駆使して4日と6時間前の映像を好きな位置・角度で見ることが出来る装置』(人の行動・言動まで見ることが出来る、進化したgoogleマップやgoogleearthみたいなもの)を使って捜査を開始する事になる、という話。
「初めてのはずなのに既に体験した事のように感じる」という“既視感”を示すタイトルや予告からはミステリー・サスペンス的な内容を想像しましたが、実際にはかなり予想とは違ったテイストの作品でした。
時間SFあり(←ネタバレ反転・注意)アクションありの「お堅くない」エンターテインメント作品でした。見ていて意表を突かれましたが、娯楽作品と割り切れば十分楽しめる映画だったかと思います。
細かい部分に拘ってしまうと納得のいかない部分も結構…かなり一杯浮かびますが(笑)(タイムパラドックスの処理などはかなり大雑把というか、大らかです(^^;))、深く考え過ぎずに楽しむには十分面白い作品かと。
「深く考えずに」と言いつつも、作中の出来事をよく見て程良く頭を使えば、観客も“デジャヴ”を感じながらより楽しめるという、馬鹿すぎず賢すぎないバランスがなかなか良かったかと思います。
タイトルの「デジャヴ」は、先に説明した「ちょっとSF的な装置」からだけでなく、こうした部分からも付けられているのではないかと。(もっとストレートに登場人物が“デジャヴ”を感じるシーンもあるのですけどね)
内容を語ろうとするとネタバレせざるを得ない作品なのであまり語れないのですが、先に説明した「装置」についてだけ。
この「装置」の扱いが映画に登場するアイテムとして実に面白いのですね。
「4日と6時間前」の映像を見られるけど、“コンピューターの処理能力の関係から”リアルタイムに「4日と6時間前」なので巻き戻しや早送りは出来ない。見られる地域も限定的。
建物の内部まで見ることが出来るけど、事件の捜査の為に「どこを」見ればいいかはベテランの捜査官の能力に頼らざるを得ない。
一見万能のツールに見えながらの、この不自由さが映画の小道具として上手いのですね。
出来ない事があるからこそ面白い。
装置の機能を生かしてのカーアクションシーンなど、新鮮な『映像の面白さ』を生み出せる優れたアイデアだったかと思います。
お見事。
ストーリー的にツッコミ所は多いですし、ラストもすっきり解決とは言い難いですが、(主人公の死があまりに制作者の御都合に引っ張られすぎですよねえ)
「文句なし」とは言わないけど面白かったですよ。
大味ではありますが(ブラッカイマーだし)、妙に憎めない作品でした。
ところでよく知りませんでしたが、アメリカでは「アルコール・タバコ・火器取締局」が火器犯罪の捜査をやるのですね。名前の印象からだと「日本たばこ産業」が犯罪捜査をしてるような気分になりますが(^^;
| 固定リンク
コメント