プレステージ(映画)
(クリストファー・ノーラン監督)
19世紀末のロンドンを舞台に、
2人のマジシャンがある事件をきっかけに憎しみあい、互いを出し抜こうと争い合っていく話です…
が、
『マジシャンのトリック合戦』を期待して行くと騙されたと思うかも知れません。
事前情報は極力入れずに見るべき映画ですが、
「ニコラ・テスラがどういう人か」だけは下調べしておいた方がいいかと。
(関係ないですが、自分がテスラを知ったきっかけは荒木飛呂彦の「変人偏屈列伝」だったなあと、懐かしく思い出したりして。)
ネタバレ無しではどうにも語りにくい映画ですが、
映画の感想を一言で言うと「いいかげんにしなさい」でしょうか(^^;
互いに「そこまでやるか」というような(犯罪レベルの)啀み合いが繰り返されます。
憎しみの連鎖は確かに不幸で悲劇的なのですが、それ以上にむしろ互いの大人げなさの方を強く感じてしまいました。
人の言うことを全然信じられなくなっていく辺りは、客観的に見てしまうとアホに見えますが、しかし、ある意味ではリアルなのかも知れません。
「メメント」の監督だけあって、時列をいじりまくった、かなり分かり難い構成の映画ですが(寝不足だったこともあって序盤はちょっと辛かった;)、
最後まで見れば、一つ一つのシーンやセリフに練り込められた意味や伏線が分かって、細かい部分までよく出来た面白い映画だったと思えました。
ただ、作中の重要な“トリック”の真相についてはかなりトンデモなので、受けいられない人もいそうですけどね。
個人的には、“トンデモであること”はともかく、肝心の“2つのトリック”がどちらも割と途中で読めてしまったのは少し残念でした。(読めたというか“見たまんま”なんですね)
それでも結構楽しめたのですが、後味は大変悪い映画ですので注意のこと。
思わず「たぶん私は3人目だから」とかエヴァを書きたくなりますけど、ネタバレなので書けません(文字反転でしか)
最後も(反転)水槽に浮いてましたっけねえ。
原作は未読でした。
映画だけだと正直疑問が残った部分もあるので、原作も読んでみたいかと。(結構原作からは変わってるみたいなんですけどね)
以下ちょっと反転で疑問点とか思ったこととかをネタバレで。
・ボーデンが「2人」だったのはテスラの機械とは関係ないはずですが(テスラはアンジャーの依頼を受けてから機械を作ったのだし)、なぜ「テスラ」の名前をアンジャーに教えたのか?
単なる暗号のキーワードだったのか?
・ボーデンとファロンの関係は「双子」だったというのが正解なんでしょうか?
アンジャーの奥さんの「ヒモ」を縛ったボーデンと「どう縛ったか覚えてない」(手を撃たれた)ボーデンは別人と思われますが、最後に生き残ったのはどちらのボーデンだったっんでしょう(見落としてますかね?)
→と、書いた後でLoomingsさんの記事(ネタバレなので注意)を見つけて大分合点がいきました。なるほど、演技の差ですか。
見返せばかなり発見が多そうな映画ですね。
・「自分を殺し続ける」事を選択したアンジャーですが、2人に増えた時点で普通にボーデンと同じトリックが使えたのに、延々「自分を殺し続ける」狂った選択をし続けたのは何故なんでしょう。
まあ普通の神経なら「自分が2人いる」なんてことは確かに苦痛でしょうけど、「自分を殺す」方が遙かに狂ってますし。
それでも彼にとっては「自分が裏方に回る」事の方が嫌だったのか、“自分の偽物”を許容出来なくなっていたのか…、
その心理を理解は出来ませんが、妄執は確かに強く印象に残りました。
以下蛇足、
心底どーでもいいことですが、
略すると「プレステ」だなと、見た後で気付きました(・e・)
もしも続編が出来たら「プレステ2」ですよ。(出来ないと思いますが)
うっかり「プレステ3」まで作っちゃったらきっと大苦戦しますよ。(絶対出来ないと思いますが)
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コメント
連チャンでTBさせていただきました。
ホント『いいかげんにしなさい』ですよね。そのせいで、後味が悪いですね。
せめて、お葬式には、ロープを結んだほうが出て”説明とごめんなさい”だろうが!なんて思っちゃいました。
ボーデンは、自分の出生記録まで書き換えて、周囲に分からないようにしてました(原作では)
似た者同士でしたね。
投稿: あん | 2007年6月20日 (水) 16時24分
後味悪いですよねえ。そこが面白くもあるんですが(^^;
葬式には「結んだ方が出ろよ」と私も思いました。
見ていて“ツッコミ心”が刺激される映画です(笑)
原作も気になっていたので昨日買いました。色々発見もあるのではと楽しみです。
投稿: でんでん | 2007年6月20日 (水) 19時35分
毎度、壁です~。
この映画飛行機の中で観たんですが。
画面が小さい上に途中(水槽脱出あたり)から観たので、
終盤までどっちがアンジャーでどっちがボーデンかすらわかりませんでした。
二人が技術ではなく仕掛けに頼りまくっているのが個人的に気になりましたが
昔の奇術はあんなのだったんでしょうか。
なんというかサラが不憫すぎる…
投稿: 壁 | 2007年6月21日 (木) 19時37分
どもです~
途中からで更に小さい画面とは確かに厳しい条件ですね。
特に最初から伏線をはりまくりのこの映画では(^^;
アンジャーもボーデンも両人とも変装したりしますし。
鳥も不憫な映画でした…;
投稿: でんでん | 2007年6月21日 (木) 21時54分