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2007年7月31日 (火)

夕凪の街 桜の国(映画)

(佐々部清監督)

「戦後13年目」と「現代」という2つの時代を通して原爆の被害者の姿を描いた、こうの史代氏原作の漫画の実写化作品です。
2つの時代をそれぞれに生きる2人の女性を主人公に、2部構成で描いています。
原作とはややテイストは違いますが、良い出来だったと思います。

戦後間もない時代と現代とのそれぞれの時代における、原爆を受けた人やその血を引く人といった“ごく普通の人”の“なかなか表に出てこないであろう”思いを伝える作品で、
そういうデリケートなテーマを、固くはなりすぎずに“取っつきやすく”伝えてくれる作品ですので(実際のところはその“取っつきやすさ”が曲者でもあるんですけど^^;)、
特に若い世代の人には見て欲しい作品だと思います。
とりあえず“原作だけ”でも“映画だけ”でもいいから見るべし。(個人的には原作がお勧め)

原作とのテイストの違いについては、漫画を邦画で実写化した場合にはよくある事ですが、原作よりも大分「ウェット」な作品になっていました。
原作は、残酷な事実を柔らかなタッチでさらっと描きながらも、それがかえって「重み」を鋭く心に刻みつけてくるのですが、
映画版ではよりストレートに、ドラマチックに感情を揺さぶる形で描かれています。
ちょっと“ドラマチック”に“綺麗”に演出し過ぎで、原作にあった『主人公自身の罪の意識』を省いてしまったのは残念でありました。

あと、「ギャグ要素」がかなり減らされてしまったのも残念だなあ(^^;(卵子は残してくれてもいいのに)

また、人間関係がかなり“分かり易く”整理されてしまっていますので、原作での『ちょっとした謎解き』の要素は薄くなっているかと思います。
まあ、本であれば「おや?」と思ったところはすぐに既読のページを読み返せますが、映像作品ではそうもいかないですから、仕方ないんでしょうねえ。

それぞれの時代の主人公を演じる麻生久美子と田中麗奈が共に良かったです。特に現代の桜の国編での田中麗奈の演技はキャラクターに合っていて良かったかと。

公式サイト

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