シッコ(映画)
(マイケル・ムーア監督)
マイケル・ムーアの新作プロパガンダ映画。今度はアメリカの医療保険問題を取り上げています。
ちなみに、タイトルの「SiCKO」は手持ちの英和辞典では出ていませんでしたが、「病人」や「病的な物」を差すらしいです。
それでも日本公開時にはどうにかならなかったのか、このタイトル(^^;
アメリカには国レベルの“国民健康保険”が存在せず、民間の保険会社に依存しているとのことで、
無保険の人口は多くて大きい手術だと100万円相当超請求されるわ、民間保険に入っていても何のかんのと理由を付けて保険が下りないわ、民間保険の系列外の病院では受け入れてもらえないわ、WHOによる医療保険制度充実度はアメリカが37位で先進国最下位だわ、911時の救出・復旧作業で尽力した結果で身体を壊した人々は報われていないわ…、と言った事が事例を挙げて描かれ、
そして国民の医療費が殆どゼロというカナダやイギリスやフランスやキューバの様子が描かれていきます。
他国の制度の良いところを描いても問題点はスルーされている等、作為的な映画ではありますが(あの辺りは公式サイトでも認めてますけど)、それでも「考える材料」として見るべき価値のある映画かと思いました。
日本人としても他人事として見てはいられません。恐ろしや…
それにしても、アメリカの医療保険制度は厳しいという話は聞いた覚えはありましたが、正直ここまで酷いとは思っていませんでした。映画では特別酷い事例を集めているかも知れないとしても。
日本の医療保険制度も問題を抱えてると思っていましたが、アメリカのそれは日本と比べものにならず、殆ど“地獄”のようです。
医療費の払えなくなった患者を(当人にロクに説明もなく)タクシーで貧民街に捨ててくる病院って、どんな乳母捨て山ですか…;;;
しかし、そんなアメリカの酷い実情を描きながらも、マイケル・ムーアはアメリカを捨てようとは主張していないようで、彼のアメリカへの愛情も感じる映画でした。
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