南極料理人(映画)
(沖田修一監督)
富士山より高い標高(3810m)に位置し、ペンギンもアザラシもウィルスもいない、だだっ広い氷原だけが広がる南極の「ドームふじ基地」(位置等)にて、
かつて南極観測隊に料理人として参加した西村淳氏のエッセイを元にした映画で、
気象学者・氷雪学者・大気学者・医療担当・車両担当・通信担当・調理担当・院生の8人の南極観測隊員達の1年半に渡る生活を「料理」を通じて描いた作品です。
(ちなみにロケ地は網走だったそうです。)
とても面白かい作品でした。それも笑える方向で。予想以上にゆるく、笑いどころの多かったです。
「南極観測隊の過酷な仕事ぶり」に関しては思ったほどは描かれておらず、真面目に「観測隊がどのように働いているかを見たい」と言う人には少し物足りないかも知れませんし、(元がエッセイということもあってか)明確な軸となるストーリーがある作品ではありませんが、極限環境での「観測隊員達の生活っぷり」はとても面白く共感して見られました。
観測隊に参加するような人はと言うと、「各方面のエリート」という想像をしてしまいますが、作中に出てくるおっさん達は思った以上に「普通のおっさん達」でした。
映画がどこまで現実に即しているかは分かりませんが、しかし、大学の教授だとか企業のお偉いさんとかでも実際にはごく普通のおっさんやおばさんや家庭人なので当たり前ですね。
そしてあのような極限環境での生活の中での「料理」や「娯楽」がどれだけ大切な物であるかが、とてもよく伝わってきました。
自分が南極に行くなら…、1週間くらいなら行ってみたいですが1年半はやはり相当にキツイだろうと思います。
ちょっとしたイベントでも大げさに盛り上げて騒ぐ様子が楽しいながらも大変に思えました。
この映画のキモは当然「料理」で、その描き方が実に美味そうで良かったです。
(映画「かもめ食堂」の人がフードスタイリストだそうで)
料理自体の見た目も、隊員達の食いっぷりも美味そうで魅力的に表現されていたかと。
そして、個々の料理に関連したエピソードが面白い。
エビの話は笑えましたし、唐揚げなどはとてもいい話でした。
KDDの扱いがおいしかったです(笑)
少し前に読んだ小説「第六大陸」(月基地を作る話)でも極限環境に慣れた南極基地の料理人の話が出ていたなあと思い出したりしました。
あと、「プラネテス(漫画)」で火星で野球をやっていたのを思い出したり。
人里を遠く離れて、周囲には何もなく動物もおらず、厳しい極限環境での生活という意味では宇宙も南極基地も程度の差はあれ近い物があるのだろうなあ。
◆後日追記(2009/9/9)
本作の原作エッセイ「面白南極料理人」を読みました。
観測隊員の人達が映画以上に「普通~のおっさん」達で親しみが持てました。
というか、映画の主人公のキャラと作者御本人の性格が180度違うよ(笑)
料理調達とか映画で描かれてない部分が面白いです。その辺りも料理担当者の仕事だったとは、思った以上に大変で責任重大な仕事だったのだなあ。
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