9(ナイン)9番目の奇妙な人形(映画)
(シェーン・アッカー監督)
2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた11分のCGアニメ短編を、ティム・バートンがプロデュースして80分の長編映画化した作品で、
背中に“9”と書かれた麻布製の人形が人類滅亡後の世界で機械の獣と戦う話です。
元が短編と言うこともあってか、ストーリーは正直あまり新鮮味・意外性は無いですが、
動く人形のビジュアルが面白く、映像には独特のダークな魅力があって見応えがありました。
不気味さと愛嬌を兼ね備え、かつシンプルな麻布人形のデザイン・造形がいいですよ。
元の短編でのデザインは知りませんが、確かにティム・バートンが好きそうな姿だと思いました。
顔のデザインなどは実に簡単なのに、表情豊かに感情が描かれるあたりも素晴らしいかと。
以下ネタバレです。(「続きを読む」でどうぞ)
1人の博士の魂(心?)を元にしながら、9体の人形の性格がそれぞれ違っているのが興味深かったです。その性格と作られた順番に意味があるかどうかは分かりませんが。
やや違う話ですが、「幽遊白書」の仙水の7つの人格の中にも女性人格がいたなあ等と思い出しました。
主人公の“9”は、正直革命家と言うより好奇心旺盛でかなり危なっかしい性格かと。
個人的には9体の中では一番臆病な“1”に人間くささを感じて感情移入してしまいました。
仲間達の魂を取り返しながらも、安易に復活させないラストは潔いと感じました。
他の仲間はともかく、身体がそばに残っていたと思われる「1」も含めて復活をさせなかったのは、多分、失われた命は戻らないと言うような、制作者にとってこだわりがあった部分なんでしょうね。
ところで、この話って実は「人類が絶滅してから」ほとんど時間は経ってないんでしょうね。(博士の遺体の様子からしても)
ラストの後も正直明るい未来や発展があるとも考えにくいですし(人形達が増えていくとも思い難いし)、今回の話も含めて「世界の終末」という感じで、なかなか切ない作品かと思います。
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