風立ちぬ(映画)
(宮崎駿監督)
「風立ちぬ」観て来ました。
宮崎監督の最新作で、零戦設計者の堀越二郎と同時代の作家・堀辰雄の自伝をモチーフとした作品です。
実在の人物モデルとは言え恋愛ドラマ部分は実際の堀越氏とは関係ないということで、混同しないように気をつけねばと思いました(笑)
それで本作ですた、いい映画でした。ジブリ作品の中でも結構上位で好きな作品かも知れません。
ただし、完全に大人向けの作品なので小さい子供には辛いんじゃないかなと。せめて小学校高学年以上ですかね。
1920年代~30年代の、関東大震災から第二次世界大戦以前辺りを描いた作品で、現在よりも暗い「死の匂い」が近い時代の話でしたが、
そうした時代の中でも前を向いて出来るだけの事をやっていこうとする主人公・二郎とヒロイン菜穂子の姿が、正しい正しくないという問題を超えて惹きつけられます。
あの結婚生活は双方にとって「それはエゴだよ」だろうし、菜穂子の最後の決断は決して「正しい」とは言えないでしょうが、その気持ちや行動を否定出来ないんですよね。
死が近い時代だからこそ、気持ちを大事にした選択をしたのかと思うとそれは間違っているとは言えません。
ラストで、「全てが崩壊して終わった」後での二郎の夢での別れが切なくほろ苦いですよ。色々失ったからこそ「生きねば」の言葉が重く感じられます。
それにしても、エンディングの荒井由実さんの「ひこうき雲」(1973年)があまりにもハマりすぎで泣けました。これももう40年も前の曲なんですね。
関東大震災の「波のように跳ねる家の描写」は漫画的デフォルメの強さが印象的でした。このあたりの表現は、やっぱり現状に対する配慮なのだろうと思いましたが、まだまだデリケートで難しいですね。
とんでもないキャスティングで話題になっていた庵野秀明監督の声(=二郎)ですが、そんなに悪くなかったかと。
まあ、声にこだわりの無い自分の言うことなので全然あてにならないですが、序盤の若い時代(大震災あたり)では年齢に対してやや年寄りっぽい声だとも思えたけど、作中でもどんどん歳を取るし、たいして問題無かったかと思います。
ただ、合ってる合ってないはともかく、庵野監督はシン・エヴァに集中して欲しかったですけどね。
劇中で二郎の友人として描かれていた本庄も航空業界では有名な人がモデルだったようで、しかも「ストラトス・フォー」の主人公の名前のモデルでもあったそうでビックリでした。そうだったのか!(^^;
二郎の上司の黒川さんがいい人でした。走る時に跳ねる髪が犬のようですよ(笑)
それにしても突然の事態で結婚の儀式に対応出来るあたりが凄い。
大震災後、骨折した人はよく二郎を見付けられたなと。計算尺に名前が書いてたんですかね?
| 固定リンク
コメント