たまこラブストーリー(映画)
(山田尚子監督)
TVシリーズ「たまこまーけっと」のその後を描いた映画です。評判が良かったので楽しみでしたが、よい青春映画でした。
TVシリーズは嫌いでは無かったものの、正直キャラ描写もストーリーもイマイチ踏み込みが足りなくて物足りない作品だと思っていましたが、今作はキャラクターの心情を丁寧に拾ってくれていて、かなり満足することが出来ました。
特に、TVでは超然としていて今ひとつ内面が分かりにくいキャラだったたまこの主観を、戸惑い迷う等身大の女の子として見せてくれたのが良かったかと。
本作はもち蔵とたまこの両方が主人公と言っていいと思いますが、TVではヘタレで終わってしまったもち蔵も頑張ってくれていて良かったですよ。
たまこに、もち蔵に、みどりちゃんにと、それぞれの思いが「セリフ」ではなく動きや演出で映像を通して感じられるように描かれているあたりが心地よかったです。
今作のテーマとしては、“キャッチ”を失敗ばかりしていたたまこがバトンや幼馴染みの想いを“受け止められる”ようになる、ということだったのかと思いますが、
ゆっくり流れる時間の中でだんだんとラストに向かってテーマが収束していく感覚は、けいおんの2期や劇場版の感覚に近いものを感じられました。
最近の、氷菓終了後の京アニ作品は正直言ってピンと来ないものが多かったですが、今回はきっちり満足出来て本当に良かったです。
幼馴染みだった2人の距離感が変わる瞬間というのは大好物なわけですが、鴨川デルタの飛び石のところは実に良いシーンでした。もち蔵がんばった!
その後にもち蔵にどう接すればいいのか分からなくなるたまこも良かったですな。「かたじけない!」が実にかわいかったです。
最後にたまこを吹っ切らせたのが母親の残した思いだったあたりはTVシリーズからの流れが感じられたかと思いました。
みどりちゃんは役回り的にちょっと辛い立場ですが、最後までたまこに友人として接して背中を押してくれた辺りが良かったですよ。みどりちゃんがんばった!
もち蔵に少し意地悪を言ったりするあたりも、もち蔵を見直したというあたりも良かったです。互いの思いを分かってるこの2人の距離感って割と好きですね。
かんなちゃんも全般通していい味が出ていて良いポジションでした。
もち蔵の映研仲間も仲良くて微笑ましかったですな。
ところで東京の映像系大学に行くというもち蔵ですが、映像を学べる大学って東京じゃなくても京都に色々あるんじゃないかと思うんですけどね。昨今の大学事情は特に詳しくないですけど。
この進路だと、もち蔵はもち屋は継がないんですかねえ。
同時上映のデラさんは、相変わらず丸かったです(笑)
チョイちゃんと合わせて相変わらずだなあと思いました。
| 固定リンク
コメント